| 様々な理由で経皮内視鏡的胃瘻造設術( PEG )が造設できない場合があります。日常診療で多くお目にかかるのが「胃切除後」の症例と、「食道裂孔ヘルニア」の症例です。胃切除後の方は
PEG が造設できる症例があります(自験例で約2割弱)。食道裂孔ヘルニアも滑脱型、と呼ばれるタイプの何割かは造設可能です。しかし、これらのうち残る約8割強の方達には
PEG の造設はできません。そうすると、これらの方達は中心静脈栄養の点滴か、もしくはあの、おぞましい不快感と肺炎の危険性が増加する経鼻胃管(鼻から胃に入れていく管です)での栄養管理を余儀無くされていました。当然、中心静脈栄養では施設入所はできませんし、経鼻胃管は長期に使うべきものではありません。
1998年に開発された方法で、経皮経食道胃管挿入術( PTEG
)と言う方法があります。これは Percutaneous
Trans-Esophageal Gastrotubing の略です。左頚部の食道内で膨らませた特殊バルーンを、超音波下に穿刺し、そのバルーン内に挿入したガイドワイアをレントゲン透視下に残胃もしくは小腸内に進め、それを利用して頚部から胃の中にチューブを挿入する方法です。
PEG と異なり、内視鏡は使いません。この方法の長所は、前出したような PEG の行えない症例でも行える場合が多い事で、造設後の管理は
PEG に比べて楽である事です。造設から2週間でボタン型への変更も可能になります( PTEG ボタン)。しかし、管のサイズが12
Fr と細く、しかも頚部から 40 cm程度の長さを要しますので、薬剤注入後に閉塞し易く十分なフラッシュが必要になります。また、頚部の重要血管や甲状腺の誤穿刺等の合併症もあります。造設時間も40分前後と、
PEG の7分程度に比べて数倍の時間を要します。
これらの欠点があるとは言え、 PTEG は非常に大きな、そして有効な経管栄養法である事は間違いありません。特に高齢化が進み、食道裂孔ヘルニアの症例の増加と、昭和
30 ? 40 年頃に潰瘍の主治療法が胃切除だった頃に胃切除を受けた方が脳出血や脳梗塞の好発年令になって来ている事等から今後
PTEG の適応になる症例は増加するものと思われます。
当院では2004年5月からこれらの症例への PTEG の造設を始めました。 PEG と並び、今後の経管栄養法の大きな二本柱になるものと期待しております。
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